無形文化財 小国紙
300年以上を超えて今もなお、伝統を紡ぐ
小国和紙の中でも、雪を利用し古式の製法で作る「小国紙」
昭和48年に国の無形文化財に選択され、その翌年、県の無形文化財に指定されました。
小国紙
サイズ 29×39㎝
原料 小国産楮
漉いた紙を雪の中で保存し、春になったら掘り起こして天日干しを行う、カングレという古式の製法で生産。
※無形文化とは
演劇、音楽、工芸技術,その他の無形の文化的所産で我が国にとって歴史上または芸術上価値の高いものを「無形文化財」という。
無形文化財は,人間の「わざ」そのものであり,具体的にはそのわざを体得した個人または個人の集団によって体現される。
(引用 無形文化財|文化庁 bunka.go.jp)
年貢として物納されてた和紙
古くから農家の冬の仕事として、旧小国村山野田集落などで生産されてきた小国和紙。
江戸時代には水田のない山間地の年貢として物納され、昭和初期には一冬に2,200万枚の紙が小さな集落から生産されていました。
「小国紙」は冬季の家内制手作業であり、出稼ぎに出る男手抜きで生産活動を行っていた例も多いようです。
年配者が丁寧に皮引きした楮をこどもが紙叩きをして紙素を準備、そして女性が紙を漉く。
雪がたくさん降り、他との行き来が困難になる豪雪地帯で、各家庭の中で一連の作業が行われ、家族の絆によって守られてきました。
しかし、現在旧小国町山野田集落は、平成16年の中越地震によって全戸避難となり、そのまま集団移転をしたため、小国紙を受け継いできた家庭を知る人たちは、山を降りてしまいました。
雪を活かした伝統製法
通常、漉いた紙の水気を絞るのは油圧ジャッキという機械を使いますが、小国紙は絞らずに重ねた状態のまま雪に埋めて、春の暖かい陽射しの頃まで低温保存。
雪の中は外気を遮断し一定の温度で腐らず凍らず保存してくれます。この伝統製法を「カングレ」と言います。
春になると、板に並べ雪上で天日し。紙に紫外線が当たると白くなるため、紫外線の強い春により多くの紫外線が当たるように雪からの反射を利用しています。
家庭で生産されていた頃は、土間の一畳ほどの狭いスペースで漉きぶねなどの道具を使い、2〜3枚の紙漉きを交互にしていたそう。
おぐに和紙の紙漉きは、簀を縦や横に降って漉く流し漉きからはじまり、後半は汲み込んだ水を平らにして溜める(そのまま水をきる)溜め漉きを行います。溜め漉きの水が切れるまでの間、違う簀を使うことで手を休めず繰り返し紙を漉けます。
昔は、400枚以上漉けなければ一人前と認められなかったそう。